同和問題の解決をめざして

           (埼玉県県民生活部人権推進課発行)

 

 ここで紹介するのは、本は本でも埼玉県が発行している啓発冊子。冊子そのものは埼玉県が主催する人権啓発イベントや県内の市町村を通じて配布されている。だが、ありがたいことに埼玉県はこの冊子の全文をweb公開していて( https://www.pref.saitama.lg.jp/a0303/mezasite.html )今このサイトを見ている方ならだれでも簡単に冊子を見ることができる。

 

 部落差別について何も知らない、特に関心もないという人を念頭に書かれている。わかりやすい記述で部落差別の歴史や今も残る部落差別について解説してくれている。部落差別について右も左もわからない、という方にお勧めの一冊。

 

 ただ、行政が作成した啓発資料という性質上、どうしても考察に深みが欠けるのは仕方ない。この冊子をお読みになられて関心を持たれた方は、ぜひ他の書籍などにもあたって理解を深めてほしい。と言っても私自身もずぶの素人なのだけれど。なお、資料編は行政が部落差別や人権問題に関して作成した文書が結構な数収録されており、部落差別問題に詳しい人にも資料編はお勧め。スマホに入れてコンパクトに持ち歩ける。

 

 なお、この冊子を通じて部落差別のことを「同和問題」と表現しているが、行政が部落差別について言及するときは必ずと言っていいほど「同和問題」という語を使用する。「同和」という語にも様々な背景があり、様々な主張があるのだけれども。とりあえずは両者は同じ現象を表していると考えて良い。部落差別について関心を持って学習を続けていくうちに両者の語をめぐる背景などは自然と理解することだろうから。
                        (未だに右往左往)