全国のあいつぐ差別事件 二〇一七年度版

(部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会 編・発行)

 

 

 本書は、毎年「部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会」名義で刊行されている。内容は、部落解放同盟が一年間に把握して「解放新聞」に掲載された部落差別事件のうち典型的なものを取りまとめたものである。とにかくたくさんの事例が収録されていて、部落差別は決して今も終わっていないことがよくわかる。私は2017年版を手にしたが、その冒頭には2016年中の差別事件の概況が取りまとめられている。

 

 この本の何がおすすめかといえば、カレントな事例が沢山載せられていて、しかもそれのどこが問題か簡潔に指摘されていて、部落問題に詳しくない人でもとっつきやすい。難解な部落問題の研究書を読むには躊躇する人でも、事例集ならとっつきやすいだろう。もちろん鳥取ループらによる全国部落調査復刻版出版事件も一章を立てて紹介されている。

 

 この本、部落問題にかかわる人以外にはあまり知られていないように見えるのが残念だが、むしろ部落問題に詳しくない人こそ読んで欲しい一冊。事例から入る方がわかりやすい。そして、部落差別が今も続いていることを知ってほしい。

(未だに右往左往)