Q.隣保館ってなに?


A. 「隣保館」という言葉は、あまり耳慣れない言葉かもしれません。英訳では、「セツルメント」という用語があてられます。スラムや貧困地域に直接入っていき、住民と接触し、課題解決やエンパワーメント、または、サポートする活動(施設)を指します。

 

 クリスチャンなどに端を発し、被差別部落については賀川豊彦や留岡幸助といった人たちが、差別的なまなざしを内包しつつ部落と関わってきました。

 

 1918年に米騒動が起こると、治安対策という点からも、上から(行政的な)の社会福祉対策として隣保館が設置されていきます。部落住民の自主的な権利闘争の中で勝ち取られたものもあります。

 

 現在、全国の隣保館を束ねる「全国隣保館連絡協議会」(全隣協)に加盟する施設は800以上になります。現代の地域福祉や共生社会のトレンドとして隣保館は再評価されており、ソーシャルワークの原点としても認められています。しかし、地域によっては、隣保館として活動することが難しい地域も少なくありませんし、大阪市や京都市などは廃止しています。

 

 本件被告による「隣保館一覧」は、地域や施設、当事者が抱えるセンシティブな空気感や思いを踏まえず、ただ一方的に隣保館=被差別部落だとアウティングするものであり、非常に問題のある行為です。部落問題の解決のために隣保館が事業を展開する際に支障も出ているのです。


(山本崇記)