私たちの部落問題VOL.3 ~対鳥取ループ裁判じっくりレクチャー&トーク
4月12日月曜日の第8回口頭弁論の終了後、平日の夜にも関わらず、30人ほどの方とともに「私たちの部落問題vol.3」を開催しました。
前半は弁護団のおふたりから、これまでの裁判の経過の解説がありました。この裁判は、「本訴」と呼ばれる正式な裁判のほかに、「仮処分」「仮差押」「保全処分」と呼ばれる裁判がいくつも並行して行われているため、それぞれが今どこまで進んでいて裁判所のどんな判断が出ているのか、論点はどこにあるのかなどを整理しないとなかなか理解が難しく、そのあたりを解説していただきました。
後半は、原告のおひとりに来ていただき、これまで受けてきた就職差別や恋愛差別、鳥取ループから受けている攻撃の内容や、将来への不安などを語っていただきました。
鳥取ループに話を悪用されたくないとのご本人の希望があり具体的な内容はここへは記せませんが、この原告の方は部落に対する偏見に基づく差別はもちろん、「部落ってよくわからないけどネットで調べたらいろいろ書いてあるから、なんかやばいんじゃないのか」という形での差別(知らないからこその差別)も受けています。
「部落問題を知らなければ差別をしなくてすむ」と部落問題を伝えたり学校で教えることへの反対意見、俗にいう「寝た子を起こすな論」というのは社会の中に根強くありますが、「適切に起こされずに寝ていた子」がネット上の差別的な言説を鵜呑みにしてしまい引き起こされる差別というものが確実にあり、それに対しての教育の重要性も同時に語られました。
また、「インターネットという誰もが自由に閲覧できる場所に鳥取ループが情報をさらしていることで、プライバシー権の侵害、名誉権の侵害、差別されない権利の侵害など、多くの権利が侵害されている。ミラーサイトも含め、ネット上の情報を全て削除させなければならない。」と強く訴えておられました。
差別の被害にあっている人がそのことを話すというのは、その被害の記憶がもう一度掘り起こされ、心が乱されることでもあります。それでも話してくださったことに対し、この問題を抱えている社会の一員としてどう答えていくのかを問われる時間でもありました。
(報告 上川多実)